保育現場のヒヤリハットとは？事例・対策方法・報告書の書き方を徹底解説
「あ！危ない！」 保育中に一瞬ヒヤッとして、心臓が止まりそうになった経験はありませんか？
子どもたちの命を預かる保育現場では、どんなに気をつけていても予期せぬ出来事が起こります。その時、「自分の不注意だ…」と落ち込むだけでは、次の事故を防ぐことはできません。
この記事では、保育現場における「ヒヤリハット」の重要性から、年齢・シーン別の具体的な事例、そして事故を未然に防ぐための対策と報告書の書き方までを徹底解説します。
ヒヤリハットを単なる「ミス」として隠すのではなく、園全体の「安全の財産」に変えるためのノウハウをお伝えします。
＼「誰でも決済」は月額費用が無料でご利用いただけます／
以下のWebサイトよりお問い合わせください
https://daredemo-kessai.com
＞＞3分でわかる！誰でも決済のサービス資料ダウンロードはこちら
保育現場における「ヒヤリハット」とは？
保育現場におけるヒヤリハットとは、重大な事故には至らなかったものの、「ヒヤリ」としたり「ハッ」としたりする危険な事例のことを指します。
これは単なる「うっかりミス」ではなく、重大事故の前兆と捉えることが重要です。
ヒヤリハットの定義と「ハインリッヒの法則」
労働災害の分野で知られる「ハインリッヒの法則」をご存知でしょうか？これは「1件の重大事故の裏には、29件の軽微な事故があり、さらにその裏には300件のヒヤリハットが隠れている」という法則です。
保育現場に置き換えると、以下のようなイメージになります。
- 1件の重大事故: 骨折、誤飲による窒息、SIDS（乳幼児突然死症候群）など
- 29件の軽微な事故: すり傷、たんこぶ、噛みつきなど
- 300件のヒヤリハット: 転びそうになった、誤飲しそうになった物を口に入れる前に止めた、など
つまり、300件ある「ヒヤリハット」の段階で原因を突き止め、対策を講じることで、頂点にある1件の重大事故を防ぐことにつながります。
なぜ報告が必要？「個人のミス」ではなく「園の財産」にする重要性
ヒヤリハットが起きた時、多くの保育士さんは「怒られるかもしれない」「自分の評価が下がるかも」と考え、報告を躊躇しがちです。
しかし、報告のないヒヤリハットは「隠れたリスク」として放置され、いつか必ず誰かが同じ場面で事故を起こします。
報告が必要な最大の理由は、「個人の経験を組織（園）の知識として共有するため」です。
- 個人: 「あそこに段差があって危なかった」と自分だけが知っている状態
- 組織: 「あそこの段差は危ないから、スロープを設置しよう」と環境が変わる状態
ヒヤリハット報告は、反省文ではありません。園全体の安全レベルを引き上げるための「貴重なデータ（財産）」なのです。
＼「誰でも決済」は月額費用が無料でご利用いただけます／
以下のWebサイトよりお問い合わせください
https://daredemo-kessai.com
＞＞3分でわかる！誰でも決済のサービス資料ダウンロードはこちら
【シーン別】保育園でよくあるヒヤリハット事例
ここでは、実際の保育現場で頻発するヒヤリハット事例をシーン別に紹介します。「あるある」と感じる場面の中に、改善のヒントが隠されています。
室内遊び・生活場面（誤飲、転倒、指挟み、衝突）
室内は子どもたちが最も長く過ごす場所であり、気の緩みが生じやすい場所でもあります。
誤飲
制作で使ったビーズやおはじきが床に落ちており、0歳児が口に入れそうになった。
転倒
床に絵本が散らばったままになっており、走ってきた子が足を滑らせて転んだ。
指挟み
扉の開閉時、死角にいた子どもの指が蝶番（ちょうつがい）側の隙間に入りそうになった。
衝突
室内での鬼ごっこ中、興奮した子ども同士が頭をぶつけそうになった。
食事・睡眠・排泄（誤嚥、アレルギー、SIDS、転落）
生命に関わるリスクが高いのがこの場面です。
誤嚥（ごえん）
給食のミニトマトを切らずに出してしまい、子どもが丸ごと口に入れて苦しそうな顔をした。
アレルギー
配膳ミスで、卵アレルギーの子のトレーにマヨネーズのかかったサラダが乗っていた（食べる前に気づいた）。
SIDS・窒息
午睡チェックの際、うつ伏せ寝になっている子や、顔にタオルがかかっている子に気づいて急いで直した。
転落
オムツ交換台に子どもを乗せたまま、お尻拭きを取ろうと目を離した瞬間に子どもが寝返りをした。
園外活動・プール・水遊び（飛び出し、迷子、溺水）
環境が変わり、開放的になる場面ではリスクが急増します。
飛び出し
お散歩中、興味のある花を見つけた子どもが、列を離れて車道へ飛び出しそうになった。
迷子
公園での自由遊び中、茂みの奥に入った子どもが見えなくなり、人数確認で「一人足りない」と焦った。
溺水
プール遊び中、浅い水深でも転んで顔が水につき、起き上がれずにバシャバシャしていた。
保護者対応・送迎時（引き渡しミス、情報伝達漏れ、集金ミス）
対人関係や情報のミスも、信頼関係を損なう大きなヒヤリハットです。
引き渡しミス
お迎えに来た祖母に引き渡そうとしたが、事前に「今日は父が迎え」と聞いていたことを思い出した（不審者対応や親権問題に関わる場合も）。
情報伝達漏れ
「熱が高かったので様子を見て」という保護者からの伝言を、遅番の職員に伝え忘れていた。
忘れ物
散歩から帰園した際、靴や帽子を公園に忘れてきてしまった。
現金集金
集金袋を開けたら、名前の書いていない封筒が入っていた。誰が支払ったのか特定するのに、全保護者に確認しなければならなくなった。
＼「誰でも決済」は月額費用が無料でご利用いただけます／
以下のWebサイトよりお問い合わせください
https://daredemo-kessai.com
＞＞3分でわかる！誰でも決済のサービス資料ダウンロードはこちら
【年齢別】発達段階で見るヒヤリハットの傾向と注意点
子どもの発達段階によって、起こりやすい事故の種類は全く異なります。
0歳～2歳児（乳児）：誤飲・SIDS・噛みつき・脱臼
この時期は「予期せぬ動き」と「身体の未熟さ」が要因となります。
- 誤飲:直径約4cm(トイレットペーパーの芯を通る大きさ)より小さいものは誤飲の原因になる可能性が高いです。床にあるもの全てに注意が必要です。
- SIDS（乳幼児突然死症候群）: 0歳児クラスでは5分ごとの呼吸チェックが推奨されていますが、チェック表への記入に気を取られ、目視がおろそかになる瞬間に注意。
- 脱臼（肘内障）: 散歩中に転びそうになった子の手を急に引っ張り上げてしまい、肘が抜けてしまうケース。
- 噛みつき: 言葉が出ない分、手や口が出るトラブル。一瞬目を離した隙に発生します。
3歳～5歳児（幼児）：高い所からの転落・お友だちとの衝突・道具の扱い
行動範囲が広がり、ダイナミックな遊びが増える時期です。
- 転落: 園庭の遊具や、室内のロッカーの上など、高いところに登って飛び降りようとする。
- 道具の扱い: ハサミを持ったまま歩き回る、食事中にフォークを振り回すなど。
- 衝突: 遊びに夢中になり、周りを見ずに全速力で走って、友だちや壁に激突する。
ヒヤリハットの対策方法
「気をつける」「注意喚起する」という精神論だけでは事故は減りません。具体的な仕組みと環境を変えるアプローチが必要です。
環境と仕組みを見直す（SHELLモデル）
事故分析に使われる「SHELLモデル」という考え方を取り入れましょう。原因を以下の4つの要素から分析します。
- S (Software): マニュアルや手順は適切だったか？
- H (Hardware): 道具や設備に不備はなかったか？
- E (Environment): 部屋の明るさ、騒音、配置は適切だったか？
- L (Liveware): 当事者（保育士）や周囲の人（子ども・同僚）の状態はどうだったか？
例：子どもが室内で転んだ場合
×「もっと気をつける」
○「床に玩具が散乱しないよう、片付けの時間を設ける（S）」「滑り止め付きのマットに変える（H）」
ヒヤリハットマップの作成と情報の「見える化」
園内の見取り図を用意し、ヒヤリハットが起きた場所にシールを貼っていく「ヒヤリハットマップ」を作成しましょう。
- 「このコーナーの角でよくぶつかるね」
- 「この時間帯の玄関は混雑して危ないね」
シールが集まっている場所は「危険なホットスポット」です。家具の配置換えや、職員の配置を見直す根拠になります。
職員間の連携強化：声を掛け合える「チーム保育」の作り方
どんなに優秀な保育士でも、一人ですべての子どもを常に見ることは不可能です。
- 声出し確認: 「〇〇ちゃん、トイレに行きます！」「了解、残りの子見ます！」
- 動線確認: 「今から給食配膳で動き回るから、遊びのスペースを奥にずらそう」
「危ない！」と思った時に、新人・ベテラン関係なく声を上げられる風通しの良さが、最大の安全対策になります。
ICTツールの導入
これまでは「職員の意識向上」や「ダブルチェック」など「人」に依存する業務が多くありましたが、慢性的な人手不足や業務過多の現場では、人手不足や疲労による見落としがどうしても発生します。
ICT導入の最大の目的は、「人間がやらなくていい業務をシステムに任せ、保育士は『子どもと関わること・直接見るべきこと』に集中できる環境を作ること」にあります。
＼「誰でも決済」は月額費用が無料でご利用いただけます／
以下のWebサイトよりお問い合わせください
https://daredemo-kessai.com
＞＞3分でわかる！誰でも決済のサービス資料ダウンロードはこちら
ヒヤリハット報告書の書き方
報告書作成が苦手でヒヤリハットを提出したくない、という保育士さんは多いです。ここでは、スムーズに書くためのコツを紹介します。
報告書を書く目的は「原因分析」
報告書は「始末書」ではありません。「誰が悪いか」ではなく「なぜ起きたか」「次はどう防ぐか」を共有するためのツールです。感情的な反省の言葉よりも、客観的な状況描写が求められます。
5W1Hで状況を整理する（いつ・どこで・誰が・どうなった）
まずは事実を淡々と整理しましょう。
- When（いつ）: 10時30分頃、主活動への移行時
- Where（どこで）: 保育室の入り口付近
- Who（誰が）: Aちゃん（3歳）が
- What（何を）: 落ちていたブロックを踏んで
- How（どのように）: バランスを崩して転倒しそうになった
【NG例とOK例】事実と推測を分けて書くコツ
事実（実際に起きたこと）と、推測（考えられる原因）を混ぜないことがポイントです。
【NG例：主観的で対策が曖昧】
私が別の作業をしていて目を離してしまったため、Aちゃんが転びそうになった。今後はもっと周りを見て気をつけて保育します。
- なぜダメなのか？: 「目を離した」のは結果であり、なぜ目を離さざるを得なかったかの背景が見えません。「気をつける」では対策になりません。
【OK例：客観的で対策が具体的】
状況: 連絡帳の記入のため、保育士が壁側を向いていた際、Aちゃんが床のブロックを踏みバランスを崩した。
原因: 片付けが完了していない状態で次の活動に移ってしまったこと。また、記録業務と見守りを一人で行う状況だったこと。
対策: 活動の切り替え時には必ず床の点検を行う。また、記録業務は午睡中に行うようタイムスケジュールを見直す。
まとめ
ヒヤリハットは「運良く事故にならなかった」というラッキーな出来事ではなく、「次に活かすための改善のチャンス」です。
「ヒヤリハットがたくさん出る園」は、危険な園ではありません。むしろ、「小さな危険にも気づける職員がいて、それを隠さずに共有できる安全意識の高い園」だと言えます。
今日から一つでも多くのヒヤリハットを見つけ、健全な園の運営に活用していきましょう。
＼「誰でも決済」は月額費用が無料でご利用いただけます／
以下のWebサイトよりお問い合わせください
https://daredemo-kessai.com
