2026年度から本格運用が開始された「こども誰でも通園制度」。新たな制度の導入にあたり、多くの園が試行錯誤する中、名古屋市内で運用を行う園では、初期の混乱を乗り越え、現在は非常にスムーズに制度を活用しています。
今回は、名古屋市名東区にある、社会福祉法人愛名ゆめいろこども園の日比園長にインタビューをさせていただき、令和7年度から制度を先駆けて導入されたきっかけや導入後の課題、そして「誰でも決済」導入後の事務の軽減についてお話をお伺いしました。

Q:まずは「こども誰でも通園制度」を始めようと決定された背景を教えてください。
A: 民間移管をして3年目になりますが、保護者の方だけでなく、地域の方々にもっと私たちの園を知ってほしいという思いがありました。この制度を通園のきっかけにしていただき、最終的には入園の検討材料の一つにしてもらいたい、という狙いがありました。
Q:新しい制度の導入は、ハードルも高かったのではないでしょうか?
A:はい。名古屋市としても初めての公募でしたし、前例がない中で新しいことを始めるのは、やはりハードルが高かったです。当初は法人内の3施設のうち、2施設は見送りました。まずは1施設でモデルケースを作ることで、ノウハウを共有しようという方針でスタートしました。
Q:実際に運用が始まって、特に大変だったことは何でしょうか?
A: 最初の半年は、こども家庭庁が提供しているシステムへの慣れや、初回面談の対応など試行錯誤の連続でした。特に保護者ニーズが非常に高く、受け入れ枠を開けるとすぐに予約が埋まる状況で、面談の時間確保には苦労しました。
Q:その中で、業務上最も負担になっていたことは何ですか?
A: 断然「現金の集金業務 」です。運用開始当初の2ヶ月間は現金で徴収していたのですが、これが非常に大変でした。小銭の両替に手数料がかかりましたし、両替のために週に一度は必ず銀行へ行かなければなりませんでした。
職員もわざわざ金庫がある職員室までお金を管理しに来なければならず、物理的な移動や、誰がいつ支払ったかの管理など、事務的な負担が非常に大きかったです。

Q:キャッシュレス決済を導入されて、変化はありましたか?
A: 劇的に変わりました!現金管理がなくなったことで、銀行に行く手間や集金袋の管理といった事務作業から完全に解放されました。現在は、職員室だけでなく、各部屋にもQRコードを設置し、お迎えの際に保護者の方にスマホで決済していただいています。
さらに、国のシステムで利用者の決済内容を報告する必要があり、週次でその作業を行っていますが、「誰でも決済」のおかげで、国のシステムとのデータの照合作業が劇的に楽になりました。
Q: 職員の方の反応はいかがですか?
A: 現場からは「本当に楽になった」という喜びの声が多く上がっています。 管理画面上で誰がいついくら支払ったかが一目で分かるため、月末の確認作業も非常に効率的になりました。導入にあたって初期費用がかからなかったのも、現場としては導入しやすかったポイントですね。

Q: 実際に制度を利用されている保護者様や、園としての手応えはどうでしょうか?
A: 「コンサートのチケットを取るように予約をとっている」という熱心な保護者様もいらっしゃいます。当制度をきっかけとして、 この4月には3名のお子さんが正式に入園されました。また、意外なメリットとして、在園児たちが誰でも通園で来る新しいお友だちを歓迎し、異年齢で関わる姿が見られるようになりました。これは子どもたちにとっても良い刺激になっています。
Q: 最後に、これから導入を検討している園へメッセージをお願いします。
A: 実施にあたって、あまりハードルを上げすぎる必要はありません。専用の部屋がなくても、遊戯室の一角を利用するだけで十分始められます。まずは週1日、数時間という「無理のない範囲」で実施してみるのがおすすめです。事務負担は「誰でも決済」のような仕組みを上手に使えばしっかりと減らすことができます。